DHCPサーバーとDHCPクライアントとの通信
さて、DHCP について概要をお話しましたので、次はもう少し細かい部分
についてお話します。
DHCP サーバーとは、DHCP
サービスが稼働しているコンピュータのことです。
DHCP クライアントとは、DHCP サーバーから情報を受け取るように設定
されているコンピュータのことです。
DHCP クライアントは起動すると、以下のような手順を経て TCP/IP の
設定情報を取得します。
※特に問題が発生しなかった場合の例です。
DHCP
クライアント DHCP サーバー
------------>
IP リース要求
(DHCPDiscover)
<------------
IP リース提供
(DHCPOffer)
------------>
IP リース選択
(DHCPRequest)
<------------
IP リース確認通知 (DHCPAck)
1. DHCP クライアントは起動すると、IP リース要求をブロードキャストします。
ブロードキャストとは、相手の IP アドレスが分からない場合、
どこにいますか〜?って、叫び相手を探す方法です。(笑)
2. IP リース要求を受け取った DHCP サーバーは、クライアントに IP アドレス
を提示します。
3. クライアントは提示されたアドレスを選択し、受け入れの通知を返します。
4. 受け入れの通知を受け取ったサーバーは承認し、IP リース確認通知を
発信します。この通知には、その他の DHCP オプション情報も含まれます。
5. (肯定)通知を受け取ったクライアントは、DHCP オプションを元に TCP/IP を
構成しネットワークに参加します。
上記の説明は、それぞれの工程がスムーズに流れた場合のお話です。
次にそれぞれの工程でスムーズに流れなかった場合についてお話します。
工程2:DHCP サーバーからの応答がない場合
Windows 2000、2003、XP の場合
IP アドレスを自身で自動的に構成します。
この機能を Automatic Private IP Addressing (APIPA) (DHCP クライアントが
IP アドレスを
取得できなかった場合に自動的に使用する IP アドレスのこと) と言います。
この機能は無効にすることもできます。
それ以外の OS の場合
IP
アドレスの取得に失敗します。
その後、バックグランドで最大 4回まで IPリース要求 (DHCPDiscover)
を発信します。
工程3:クライアントが提示されたアドレスを拒否した場合
再度、工程1から要求を実行します。
クライアントの再起動
IP アドレスをリースしている DHCP クライアントが再起動した場合、
IP リース要求 (DHCPDiscover) からではなく、IP リース選択 (DHCPRequest)
から開始します。
このとき IP
アドレスは、それまで割り当てられていたものを要求します。
ほかのクライアントが使用していたり、ネットワークを移動していると
否定通知 (DHCPNak) を受け取ることになります。
この場合は、要求を初めからやり直すことになります。
リースの更新
IP アドレスのリース期間(※)の半分が過ぎると DHCP クライアントは、
DHCP サーバーにリースの更新を要求します。
DHCP サーバーからの応答がない場合、リース期間の 87.5% が過ぎた時点で
再度更新要求を行います。
更新の許可を受け取れずリース期間の満了を迎えると DHCP クライアントは
IP アドレスの使用を停止し、IP リース要求 (DHCPDiscover) から要求を行う
ことになります。
リース期間を決定するにあたって
リース期間は長くなればなるほど、クライアント、サーバーの負荷を小さくすること
ができます。しかし、長すぎるリース期間は IP アドレスの枯渇を招きます。
そこで、リース期間を決定する際、次のことを考慮する必要があります。
● 割り当てる IP アドレスは使用するコンピュータの数より十分余分があるか?
余裕がないならリース期間を短くする必要がある。
●モバイル コンピュータ(ダイヤルアップ接続や VPN 接続するコンピュータ)
やラップトップ コンピュータは接続切断を繰り返すため、リース期間を短くすると良い。
●デスクトップ コンピュータはリース期間を比較的長く取ることができる。
※ リース期間
IP アドレスを無期限に割り当てると、いつかは IP アドレスが枯渇することになる。
これを防ぐためにDHCP では IP アドレスを割り当てる際、一般的に一定期間の
貸し出し期間を設けます。
これをリース期間と言います。
▼DHCP―ホスト設定サーバの設定・運用・管理